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吾輩は猫である_十一 - 11

夏目漱石
日语读物
总共148章(已完结

吾輩は猫である 精彩片段:

十一 - 11

「まあ羅甸語などはあとにして、ちょっと寒月君のご高話を拝聴仕(つかまつ)ろうじゃないか。今大変なところだよ。いよいよ露見するか、しないか危機一髪と云う安宅(あたか)の関(せき)へかかってるんだ。――ねえ寒月君それからどうしたい」と急に乗気になって、またヴァイオリンの仲間入りをする。主人は情(なさ)けなくも取り残された。寒月君はこれに勢を得て隠し所を説明する。

「とうとう古つづらの中へ隠しました。このつづらは国を出る時御祖母(おばあ)さんが餞別にくれたものですが、何でも御祖母さんが嫁にくる時持って来たものだそうです」

「そいつは古物(こぶつ)だね。ヴァイオリンとは少し調和しないようだ。ねえ東風君」

「ええ、ちと調和せんです」

「天井裏だって調和しないじゃないか」と寒月君は東風先生をやり込めた。

「調和はしないが、句にはなるよ、安心し給え。秋淋(あきさび)しつづらにかくすヴァイオリンはどうだい、両君」

「先生今日は大分(だいぶ)俳句が出来ますね」

「今日に限った事じゃない。いつでも腹の中で出来てるのさ。僕の俳句における造詣(ぞうけい)と云ったら、故子規子(こしきし)も舌を捲(ま)いて驚ろいたくらいのものさ」

「先生、子規さんとは御つき合でしたか」と正直な東風君は真率(しんそつ)な質問をかける。

「なにつき合わなくっても始終無線電信で肝胆相照らしていたもんだ」と無茶苦茶を云うので、東風先生あきれて黙ってしまった。寒月君は笑いながらまた進行する。

「それで置き所だけは出来た訳だが、今度は出すのに困った。ただ出すだけなら人目を掠(かす)めて眺(なが)めるくらいはやれん事はないが、眺めたばかりじゃ何にもならない。弾(ひ)かなければ役に立たない。弾けば音が出る。出ればすぐ露見する。ちょうど木槿垣(むくげがき)を一重隔てて南隣りは沈澱組(ちんでんぐみ)の頭領が下宿しているんだから剣呑(けんのん)だあね」

「困るね」と東風君が気の毒そうに調子を合わせる。

「なるほど、こりゃ困る。論より証拠音が出るんだから、小督(こごう)の局(つぼね)も全くこれでしくじったんだからね。これがぬすみ食をするとか、贋札(にせさつ)を造るとか云うなら、まだ始末がいいが、音曲(おんぎょく)は人に隠しちゃ出来ないものだからね」

「音さえ出なければどうでも出来るんですが……」

作品简介:

夏目漱石《我是猫》日文原版。

1867(慶応3年)、江戶牛込馬場下(現在新宿区喜久井町)に生れる。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学した。留学中は極度の神経症に悩まされたという。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、「吾輩は猫である」を発表し大評判となる。翌年には「坊っちゃん」「草枕」など次々と話題作を発表。’07年、東大を辞し、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

作者:夏目漱石

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