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吾輩は猫である_十一 - 18

夏目漱石
日语读物
总共148章(已完结

吾輩は猫である 精彩片段:

十一 - 18

「どうして借りた金を返さずに済ますかが問題である」

「そんな問題はありませんよ。借りたものは返さなくちゃなりませんよ」

「まあさ。議論だから、だまって聞くがいい。どうして借りた金を返さずに済ますかが問題であるごとく、どうしたら死なずに済むかが問題である。いな問題であった。錬金術(れんきんじゅつ)はこれである。すべての錬金術は失敗した。人間はどうしても死ななければならん事が分明(ぶんみょう)になった」

「錬金術以前から分明ですよ」

「まあさ、議論だから、だまって聞いていろ。いいかい。どうしても死ななければならん事が分明になった時に第二の問題が起る」

「へえ」

「どうせ死ぬなら、どうして死んだらよかろう。これが第二の問題である。自殺クラブはこの第二の問題と共に起るべき運命を有している」

「なるほど」

「死ぬ事は苦しい、しかし死ぬ事が出来なければなお苦しい。神経衰弱の国民には生きている事が死よりもはなはだしき苦痛である。したがって死を苦にする。死ぬのが厭(いや)だから苦にするのではない、どうして死ぬのが一番よかろうと心配するのである。ただたいていのものは智慧(ちえ)が足りないから自然のままに放擲(ほうてき)しておくうちに、世間がいじめ殺してくれる。しかし一と癖あるものは世間からなし崩しにいじめ殺されて満足するものではない。必(かなら)ずや死に方に付いて種々考究の結果、嶄新(ざんしん)な名案を呈出するに違ない。だからして世界向後(こうご)の趨勢(すうせい)は自殺者が増加して、その自殺者が皆独創的な方法をもってこの世を去るに違ない」

「大分(だいぶ)物騒(ぶっそう)な事になりますね」

「なるよ。たしかになるよ。アーサー·ジョーンスと云う人のかいた脚本のなかにしきりに自殺を主張する哲学者があって……」

「自殺するんですか」

「ところが惜しい事にしないのだがね。しかし今から千年も立てばみんな実行するに相違ないよ。万年の後(のち)には死と云えば自殺よりほかに存在しないもののように考えられるようになる」

「大変な事になりますね」

作品简介:

夏目漱石《我是猫》日文原版。

1867(慶応3年)、江戶牛込馬場下(現在新宿区喜久井町)に生れる。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学した。留学中は極度の神経症に悩まされたという。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、「吾輩は猫である」を発表し大評判となる。翌年には「坊っちゃん」「草枕」など次々と話題作を発表。’07年、東大を辞し、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

作者:夏目漱石

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