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吾輩は猫である_十一 - 19

夏目漱石
日语读物
总共148章(已完结

吾輩は猫である 精彩片段:

十一 - 19

「昔(むか)しスペインにコルドヴァと云う所があった……」

「今でもありゃしないか」

「あるかも知れない。今昔の問題はとにかく、そこの風習として日暮れの鐘がお寺で鳴ると、家々の女がことごとく出て来て河へ這入(はい)って水泳をやる……」

「冬もやるんですか」

「その辺はたしかに知らんが、とにかく貴賤老若(きせんろうにゃく)の別なく河へ飛び込む。但(ただ)し男子は一人も交らない。ただ遠くから見ている。遠くから見ていると暮色蒼然(ぼしょくそうぜん)たる波の上に、白い肌(はだえ)が模糊(もこ)として動いている……」

「詩的ですね。新体詩になりますね。なんと云う所ですか」と東風君は裸体(らたい)が出さえすれば前へ乗り出してくる。

「コルドヴァさ。そこで地方の若いものが、女といっしょに泳ぐ事も出来ず、さればと云って遠くから判然その姿を見る事も許されないのを残念に思って、ちょっといたずらをした……」

「へえ、どんな趣向だい」といたずらと聞いた迷亭君は大(おおい)に嬉しがる。

「お寺の鐘つき番に賄賂(わいろ)を使って、日没を合図に撞(つ)く鐘を一時間前に鳴らした。すると女などは浅墓(あさはか)なものだから、そら鐘が鳴ったと云うので、めいめい河岸(かし)へあつまって半襦袢(はんじゅばん)、半股引(はんももひき)の服装でざぶりざぶりと水の中へ飛び込んだ。飛び込みはしたものの、いつもと違って日が暮れない」

「烈(はげ)しい秋の日がかんかんしやしないか」

「橋の上を見ると男が大勢立って眺(なが)めている。恥ずかしいがどうする事も出来ない。大に赤面したそうだ」

「それで」

「それでさ、人間はただ眼前の習慣に迷わされて、根本の原理を忘れるものだから気をつけないと駄目だと云う事さ」

「なるほどありがたい御説教だ。眼前の習慣に迷わされの御話しを僕も一つやろうか。この間ある雑誌をよんだら、こう云う詐欺師(さぎし)の小説があった。僕がまあここで書画骨董店(こっとうてん)を開くとする。で店頭に大家の幅(ふく)や、名人の道具類を並べておく。無論贋物(にせもの)じゃない、正直正銘(しょうじきしょうめい)、うそいつわりのない上等品ばかり並べておく。上等品だからみんな高価にきまってる。そこへ物数奇(ものずき)な御客さんが来て、この元信(もとのぶ)の幅はいくらだねと聞く。六百円なら六百円と僕が云うと、その客が欲しい事はほしいが、六百円では手元に持ち合せがないから、残念だがまあ見合せよう」

作品简介:

夏目漱石《我是猫》日文原版。

1867(慶応3年)、江戶牛込馬場下(現在新宿区喜久井町)に生れる。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学した。留学中は極度の神経症に悩まされたという。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、「吾輩は猫である」を発表し大評判となる。翌年には「坊っちゃん」「草枕」など次々と話題作を発表。’07年、東大を辞し、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

作者:夏目漱石

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